『発災時の基礎知識』

地震が起きたとき、何よりも最優先すべきことは、自分のいのちを守ることです。

 

そのためにも、知識をきちんと備えましょう。



1、発災時の行動

『地震からの守り方:基本』

 

≪落ち着いて火の始末をする≫

火を使っているときは、揺れが収まってから、慌てずに火の確認をします。出火したときは、落ち着いて消火しましょう。炎が天井付近に達する場合や、危険と感じる場合には速やかに避難しましょう。

 

≪まわりにある物で頭をしっかり守る≫

自宅の場合、丈夫な机の下に入るなど、危険な物から離れましょう。丈夫な机などがなければ姿勢を低くし、クッションや雑誌などで頭を保護します。外出中はカバンなどで頭を守り、外壁や看板などの落下物から身を守ります。

 

≪揺れが収まったらドアや窓を開けて避難ルートを確保≫

いつでも避難できるように揺れが収まったら、部屋の窓や戸、玄関のドアを開けて避難ルートを確保しましょう。

 

『地震からの守り方:出かけ先』

 

≪窓や機器から離れる(オフィス)≫

オフィスではキャビネットが倒れたり、コピー機が思いもよらない方向に移動したりします。また、窓が割れてガラスが飛散することもあるので、エレベータホールなど、物が落ちてこない・倒れてこない・移動してこない場所へ、素早く逃げます。

 

≪すべての階のボタンを押す(エレベーター)≫

揺れを感じたら、行き先階のボタンを全て押し、最初に止まった階で降ります。もし閉じ込められてしまったら、インターフォンを押して連絡を。落ち着いて救助を待ちましょう。

 

≪落下物に注意してつり革や手すりにつかまる(電車)≫

地震発生時、電車は緊急停車します。落下物に気を付けて、つり革や手すりにつかまり、転ばないように注意します。もし停電になっても、バッテリーにより車内灯が点灯します。慌てて外に飛び出したりせず、落ち着いて、車内放送を聞きましょう。

 

≪陳列棚から離れ、踊り場や柱の近くへ(スーパーやコンビニ)≫

重い瓶や缶などが飛んできたり、棚が倒れたり、ショーケースが破損したりするので、開けた場所や柱の近くへ移動します。身動きが取れない場合は、買い物かごやかばんなどをかぶり、その場でしゃがみ、身の安全を確保します。

 

『地震からの守り方:自宅』

 

≪キッチンは危険地帯、素早く安全な場所へ≫

冷蔵庫が倒れてきたり、熱湯や油の入った鍋が飛んできたりする恐れもあるので、無理に火を止めに行かずキッチンから離れ、まずは身を守ることを最優先にしましょう。

 

≪寝室では、枕や布団にくるまって身の安全を確保する≫

窓ガラスの破片が飛んできたり、電気スタンドや家具が倒れてきたりすることもあるので、枕や布団で頭とからだを保護しながら揺れが収まるのを待ちます。収まったら、ガラスの破片など飛散物に気を付けて避難ルートを確保します。

 

≪子供と自分を守る姿勢をとる≫

揺れを感じたら子供と向かい合って、自分のお腹あたりに、子供の頭を抱きかかえるように丸くなります。子供と離れた場所にいるときは、まずは自分の安全を優先。むやみに子供の名前を呼ぶと、かえって子供が動いて危険です。揺れが収まってから、子供のもとへ移動しましょう。


2、発災直後の行動

≪まずは、自分の目と耳で危険を確認≫

 

家族や友人と一緒にいれば、揺れが収まり次第、お互いの状況を確認。その後、建物の倒壊や火災・土砂崩れなどの危険がないか、避難経路をしっかり確保できているか確認しましょう。

 

≪何が起きているのかを公共の情報で知る≫

 

身の回りの安全が確認できたら、テレビ、ラジオ、防災行政無線、行政のウェブサイトなどで情報を確認しましょう。

 

≪必要なら一時集合場所・避難場所へ移動する≫

 

火災の危険が迫っていたり、避難指示が出た場合に避難する場所として、自治体が近くの公園や広場を一時集合場所や避難場所として指定しています。あらかじめ地図で確認しておきましょう。

・一時集合場所 … 避難場所へ避難する前に、避難者が一時的に集合して

様子を見る場所。

・避難場所 … 延焼火災やそのほかの危険から身を守るために避難する場所

(大きな公園、広場など)。

・避難所 … 被災者を一時的に受け入れ保護する場所(学校、公園など)。

 

≪地下街などではあわてずに落ち着いて行動を≫

 

パニックが起こり、非常口に人が殺到すると、負傷する危険があります。地下街には60mごとに非常口が設置されているので、あわてず冷静に避難しましょう。

 

≪たとえ動いていてもエレベーターには乗らない≫

 

余震や停電で閉じ込められる危険があります。エレベーターは使わずに避難口(非常口)から階段を使って避難します。

 

≪避難には車を使用しない≫

 

一般車両の使用は、緊急車両の通行の妨げになります。また、道路の損傷や信号機の故障により、交通事故などの二次災害の危険も。なお、発災時に車に乗っている場合は、車を道路の左側に止めて、揺れが収まるまで待ちましょう。その後。車をできるだけ道路外に駐車して避難しましょう。


3、帰宅困難になったら

≪発災後はむやみに移動を開始しない≫

 

発災後、道路が多くの人で埋まると、救急車や消防車が通れず、救助や救命活動の妨げなります。また、徒歩帰宅中余震にあう可能性などもあり、発災後すぐに自宅に帰ろうとするのは危険です。むやみに移動せず、会社や学校など安全な場所にとどまりましょう。すぐに帰れないことを想定して、家族の安否確認の手段も準備しておくことが重要です。

 

≪外出先で被災した場合は≫

 

大震災発生時などは、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設が開設されます。外出先で被災した場合には、近くの一時滞在施設にとどまりましょう。施設を利用する場合は、高齢者や障害のある方などの要配慮者を優先しましょう。また、施設の運営も積極的にサポートして助け合うことが大切です。

 

≪災害時帰宅支援ステーションを活用する≫

 

混乱が収まった場合は、歩いて帰ることもひとつの手です。原則として4日目以降に、帰宅困難者に水道水やトイレなどを提供する災害時帰宅支援ステーションが開設されます。歩いて帰る人は、災害時帰宅支援ステーションを活用しましょう。


4、安否確認の方法

『家族や友人の安否情報を集める方法』

 

通話が集中すると、電話がつながりにくくなることもあります。

安否の確認は災害用伝言ダイヤルやネットサービスも活用しましょう。

また、発災直後は不要不急の電話は控えましょう。

 

SNSを活用して安否を確認する≫

SNSやショートメッセージで家族や友人に安否を伝えるのも有効な手段です。通じない場合も想定して複数の連絡手段を用意しておきましょう。

 

≪災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言版(web171)の使い方を覚えておこう≫

地震などによって、電話がつながりにくいときに提供される災害用伝言ダイヤル(171)や、災害用伝言版(web171)など、安否確認方法を家族で確認し合い、活用できる準備をしておきましょう。

 

≪パソコンや携帯電話から安否情報を一括検索できる「J-anpi」が便利≫

j-anpi」では、各種災害用伝言版に登録してある安否情報や、協力している企業、団体、自治体が提供する安否情報を、電話番号または氏名で検索できます。


5、情報の収集と発信

SNSを使うときの注意点』

 

SNSは情報収集・発信に便利なメディアです。しかし、発災直後は混乱をあおるような不確かな情報が広まることがあります。災害に関する情報は、いつも以上に慎重に受け止めましょう。

 

≪それって本当?と疑い、正しい情報か確認する習慣を≫

受け取った情報はそのまま信用せず、自分でも確認することが大切です。まずは、発信元(引用元)が公共性の高い信頼できる情報であるか確認を。善意に見える情報も、必ずしも真実とは限りません。友人から得た情報も、発信元をたどったり、複数の情報源を確認するなどの検証をしましょう。また、災害時には一日前の情報でも古いことがあるので、常に最新の情報であるか確認することが必要です。

 

 

≪デマを広げない≫

災害時の不安な心理状態のときほど、デマに振り回されてしまうことがあります。デマであれば、新たな被害を生むことにもなりかねないので、不確かな情報はむやみに広げないようにしましょう。また、自分が情報を拡散するときは、元の情報に手を付けずにそのまま拡散するようにしましょう。元の情報を自分で要約したり、一部だけ抜粋したりすると、間違って伝わることもあるので、注意しましょう。

 


6、そのほかの災害時の行動

『風水害からの身の守り方』

 

≪気象情報≫

・注意報…大雨、洪水、暴風などにより災害が起こるおそれがある場合に発表されます。

・警報…大雨、洪水、暴風などにより重大な災害が起こるおそれがある場合に発表されます。

・特別警報…数十年に一度の大雨が予想される場合や、浸水、土砂災害などの重大な災害が起こるおそれがある場合に発表されます。

・土砂災害警報情報…大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度がさらに高まったときに発表されます。

 

≪避難情報≫

・避難準備、高齢者等避難開始…いつでも避難ができるように準備しましょう。高齢の方など、避難に時間を要する方は避難を開始しましょう。

・避難勧告…速やかに避難を開始しましょう。外出することでかえっていのちに危険が及ぶような状況では、近くの安全な場所への避難や、自宅内で可能な限り高い場所に避難をしましょう。

・避難指示(緊急)…緊急に避難場所へ避難しましょう。避難の時間的余裕がない場合は、いのちを守る最低限の行動をしてください。

 

 

※これらの情報が発令されなくても、身の危険を感じた場合は避難を開始してください。

 

≪早めの避難行動≫

台風や集中豪雨により、わずかな時間で危険にさらされることも。役所や消防署などから避難の呼びかけがあった場合には、速やかに避難しましょう。また、こまめに気象情報を確認することも大切です。

 

≪地下、半地下から避難する≫

地下室や半地下家屋は浸水しやすく、逃げ遅れる危険があります。気象情報に注意し、危険を感じたら、すぐに避難所や3階以上の頑丈な建物などへ避難しましょう。

 

≪大雨のときは河川の近くや低い道は避ける≫

河川の水位が一気に上がり氾濫することがあります。河川や用水路の近く、路面の高さが前後と比べて低くなっている道、地下通路を避けるなど、安全なルートで避難しましょう。

 

≪冠水している道路は注意≫

冠水している道路は、深さがわからず、マンホールや側溝のふたが外れていることもあるので危険です。やむを得ず冠水している道路を歩く場合は、傘や杖、棒などで地面を確認しながら歩きます。また、長靴は水が入ると濡れやすくなるので、運動靴を履くようにしましょう。

 

『そのほかの災害からの身の守り方』

 

≪落雷≫

近くに高い物があると、それを通って雷が落ちてくる可能性があります。グラウンドやゴルフ場など開けた場所は特に注意。鉄筋コンクリートの建物や自動車の中など、安全な場所に避難しましょう。

 

≪大雪≫

公共交通機関が止まり、道路も通れなくなる可能性があります。大雪が予想されたら、早めに帰宅し、外出は控えましょう。やむを得ず外出する場合は、滑りにくい靴などを履いて、転倒に注意しましょう。

 

≪火山噴火≫

火山噴火による大きな噴石、火砕流などは、避難までの時間的猶予がほとんどありません。噴火警報に注意して、事前の避難を心がけましょう。噴火に遭遇したら、頭を守り、マスクをするなど、火山灰や火山ガスから身を守りましょう。

 

≪武力攻撃時≫

弾道ミサイルは発射からわずか10分もしないうちに到達する可能性もあります。ミサイルが日本に落下する可能性がある場合は、「Jアラート」を活用して、防災行政無線で特別なサイレン音とともにメッセージを流すほか、緊急速報メールなどにより緊急情報をお知らせします。メッセージが流れたら、落ちついて直ちに行動しましょう。

 

メッセージが流れたら … 

屋外にいる場合→近くの建物の中か、地下に避難。

屋内にいる場合→窓から離れるか、窓のない部屋に移動。

建物がない場合→物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。

 

近くにミサイルが落下したら … 

屋外にいる場合→口と鼻をハンカチで覆い、現場から直ちに離れ、

密閉性の高い屋内または風上へ避難。

 

屋内にいる場合→換気扇を止め、窓を閉め、目張りをして室内を密閉。

 

『身近な物を利用した救出・救護』

 

≪脱出できない人の救出≫

家具などの下敷きになって動けない人を救出するときは、自分の安全を確保したうえで、応援を呼びます。車のジャッキやてこの原理を利用して堅い角材などで家具を持ち上げることができます。救出中は、挟まれている人に安心感を与えるような声掛けを。

 

≪ケガ人の運び方≫

担架がなくてもいすを利用してけが人を運ぶことができます。必ず背もたれの付いたいすを利用しましょう。※いす以外にも、毛布などの大きな布を使って運ぶこともできます。