ここでは、食品の栄養に関する豆知識をご紹介いたします。
アレルギー物質の表示義務化
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が原材料に含まれる場合、そのことを表示しなければなりません。
卵、乳、小麦、そば、ピーナッツ、エビ、カニの7品目は表示が義務化されています。
原材料を使った場合だけでなく、作るときに使った場合も、これらが使われていたことがわかるように必ず表示しなければなりません。
表示を推奨されている食品もあります。
アワビ、イカ、イクラ、サケ、サバ、オレンジ、キウイフルーツ、バナナ、桃、りんご、牛肉、豚肉、鶏肉、ゼラチン、くるみ、大豆、まつたけ、やまのいも、カシューナッツ、ごま、の20種類です。
食品添加物
食品添加物は、食品をより美味しくしたり、長時間保存できるようにすることを目的としていて、安全性が確認されています。
しかし、1種類の添加物の安全性は確認されていても、ひとつの食品に何種類もの添加物が使用されている場合、それらの複合的な安全性は確認されていません。
なるべく、食品添加物の種類の少ないものを選ぶのが好ましいでしょう。
食品表示のルール
食品の表示はいくつかの法律によって規制されています。
代表的なものに、衛生上の問題を防止するための食品衛生法、農林物資の規格や品質表示の適正化に関して定めたJAS法、健康の保持増進のため効果や間違った表示についての規制をする健康増進法などがあります。
生鮮食品と加工食品には名称、原材料名、内容量、賞味期限または消費期限、保存方法、製造者の情報が記載されています。
そんな中、品質や機能が基準を満たしていると表示できるマークがありますので、食品を選ぶときは。表示の情報をよく見て、品質を見極めるとよいでしょう。
例:JASマーク、特定JASマーク、有機JASマーク、特別用途食品マーク、特定保健用食品マークなど。
「何を」「どれだけ」が見てわかる食事バランスガイド
食事の望ましい組み合わせとおおよその量を示しているのが「食事バランスガイド」です。
日本の伝統的な玩具である「コマ」の形を使って、何をどれだけ食べたらよいのかをイラストでわかりやすく伝えています。
「食生活指針」の食事内容に関する部分を、より具体的に伝える健康増進のための教材として、2005年に厚生労働省と農林水産省により作られました。
食事バランスガイドの特徴は、食べるカロリーではなく「つ」(SV:サービング)という新しい単位で示しているところです。
栄養素や食材だけでなく、料理(献立)という単位で考え、実際の生活に取り入れやすく工夫されています。
出典:農林水産省Webサイト(http://http/www.maff.go.jp/j/balance_guide/kakudaizu.html)
食生活指針
「食品成分表」や「食事摂取基準」がどちらかというと栄養の専門家向けに作られているのに対し、「食生活指針」は一般の人が日々の生活の中で役立てることのできる食事と栄養のための指針です。
出典:農林水産省Webサイト(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/shishinn.html)
食事を楽しみましょう
毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
おいしい食事を、味わいながらゆっくりよく噛んで食べましょう。
家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。
1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを
朝食で、いきいきした1日を始めましょう。
夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
飲酒はほどほどにしましょう。
適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を
普段から体重を量り、食事量に気をつけましょう。
普段から意識して身体を動かすようにしましょう。
無理な減量はやめましょう。
特に若年女性のやせ、高齢者の低栄養にも気をつけましょう。
主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを
多様な食品を組み合わせましょう。
調理方法が偏らないようにしましょう。
手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせましょう。
ごはんなどの穀類をしっかりと
穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて
たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分にとりましょう。
食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて
食塩の多い食品や料理を控えめにしましょう。食塩摂取量の目標値は、男性で1日8g未満、女性で7g未満とされています。
動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう。
栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう。
日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を
「和食」をはじめとした日本の食文化を大切にして、日々の食生活に活かしましょう。
地域の産物や旬の素材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう。
食材に関する知識や調理技術を身につけましょう。
地域や家庭で受け継がれてきた料理や作法を伝えていきましょう。
食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を
まだ食べられるのに廃棄されている食品ロスを減らしましょう。
調理や保存を上手にして、食べ残しのない適量を心がけましょう。
賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう。
「食」に関する理解を深め、食生活を見直してみましょう
子供のころから、食生活を大切にしましょう。
家庭や学校、地域で、食品の安全性を含めた「食」に関する知識や理解を深め、望ましい習慣を身につけましょう。
家族や仲間と、食生活を考えたり、話し合ったりしてみましょう。
自分たちの健康目標をつくり、よりよい食生活を目指しましょう。
食事摂取基準
「日本人の食事摂取基準(2015)」とは、国民の健康状態を向上させ、生活習慣病の予防、および重症化予防を目的に、エネルギー量や栄養素の摂取量を示したもので、厚生労働省が定めています。(平成31年度までの使用期間)
食事摂取基準では、「推定エネルギー必要量」が設定され、消費量と釣り合っていて体重に変化のない状態が最も望ましいという考え方のもとで、
推定エネルギー必要量(キロカロリー/日)=基礎代謝量×身体活動レベルの指数
として算定されています。
推定平均必要量(EAR)と推奨量(RDA)→健康の維持と増進、欠乏予防のため
目安量(AI)→上記2つを設定できない栄養素について設定される
耐容上限量(UL)→過剰に摂取することで健康障害を起こすことを未然に防ぐため
目標量(DG)→生活習慣病の一時予防を目的に食事摂取基準を設定することが必要なもの
食品成分表
文部科学省内で実際の食品を測定し、データ分析と資料の作成を行っています。それが、「日本食品標準成分表」です。
成分項目は、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、無機質(ミネラル)13種、ビタミン13種、食塩相当量です。
実際に食品に含まれる成分量は、食品の部位によって差があり、採れる季節や地域、状態によっても差がでてきます。そこで、食品成分表に示されているのは、「標準成分値」です。
この表は、学校などの給食施設での栄養管理や栄養教育、栄養指導、栄養調査の実施、病人の食事設計から各家庭での献立作りまでの推進にかかわるものです。
生体調節機能(機能性成分)
食品の生体機能調節成分は、免疫系、内分泌系、神経系、消化系のような生理統合系を調整し、体調をととのえて病気を予防します。
この成分を効率よくとり込めるよう加工し、さらに一定の規格を満たしたものを「保健機能食品」といいます。
また、人による臨床試験で保健効果が確かめられたものは、消費者庁の認可を受けて「特定保健用食品(トクホ)」として販売できます。
そして、「栄養機能食品」は食生活で不足しがちなビタミン12種、ミネラル5種についての栄養素を補うために利用される食品です。
一定の規格基準を満たしていれば許可申請はいりませんが、機能だけではなく注意喚起の表示もする必要があります。
機能性食品には、機能性成分がはっきり特定できていないものや、保健効果が臨床試験で証明されていないものも数多くあります。
これらは、いわゆる「健康食品」「健康補助食品」として市販されています。
感覚機能(香味成分)
おいしさを評価するものは、視覚による形状などの外観、色、つや、嗅覚による香り、味覚による味、かたさ、歯ごたえ、のどごしなどの要因です。
その中でも食品の味覚は、体にその食品の持つ性質や状態を示す役割もしています。
甘味…糖類(エネルギー、血糖になる)
塩味…ミネラル類(電解質の存在、ナトリウム補給)
うま味…アミノ酸系のグルタミン酸等と核酸系のイノシン酸等(たんぱく質の存在)
酸味…酸類(未熟な果実、腐敗)
苦味…(危険な異物、避けるべき物質の存在)
これら5つが基本味とされ、ほかに皮膚感覚をともなった辛味、渋味、えぐ味があります。
栄養素の種類と働き
糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル(無機質)を、「五大栄養素」といいます。
このほかに、生きてゆくためには水と酸素も必要です。
栄養素の定義からみると、水は栄養素といえますが、栄養素には含めない場合もあります。
また、食物繊維は栄養素に含まれませんが、重要な働きがあります。
栄養素の働きは、大きく分けると次の3つです。
熱量素…エネルギー源となる。主に、糖質・脂質。
構成素…体の構成成分となる。主に、脂質・たんぱく質・ミネラル。水も重要な構成成分である。
調節素…体の機能を調整する。主に、たんぱく質・ミネラル・ビタミン。
また、栄養素の中には、人の体内で合成できないか、合成できても必要な量には足りないため、食事で摂らなければならないものがあります。
これらを「必須栄養素」と呼び、ビタミン13種とミネラル16種があります。
食品の機能
食品に含まれるのは、体を作り活動のエネルギー源となる栄養素だけではありません。
神経系、免疫系、内分泌系、循環系、消化系などを中心に体の調子をととのえる機能に大きな影響を与える成分も含まれます。
こうした、食品が生体に与える効果を「食品の機能」と呼び、次の3つに分けられています。
一次機能…栄養機能(生命の維持機能、五大栄養素の働きを指す。)
二次機能…感覚機能(味覚嗅覚応答機能。)
三次機能…生体調節機能(体の調子をととのえて健康状態を良くする機能。)
『栄養』という語の正しい理解のために
一般用語として、「栄養がいい」、「この食べ物は栄養がある」などということがあります。
これらは、学問的にいうと、前者は「栄養素が十分にとれている状態」をいい、
後者は「この食べ物には必要な栄養素が十分に含まれているということ」になります。
食物の中に含まれているのは「栄養」ではなく、あくまでも「栄養素」であることを知っておきましょう。