ここ最近、地震が続く日が多いように感じます。
30年以内に70%の確率で発生すると予測されている、首都直下型地震。
防災でいちばんたいせつなことは、いのちを守ることです。
ここでみなさんにお伝えすることは、いつもの暮らしの中でできることです。
毎日の行動や習慣で、防災が暮らしの中で始まります。
少しづつ、日々の中で備えを始めてみましょう。
『ここで地震が起きたら、と危険を想像してみること』
〈チェックポイント〉
・転倒物、落下物 → 下記、例を挙げました。
・身を守る場所
・避難ルート → 非常口は常に確認しておくこと。会談の場所や広い道路なども。
※屋外…割れたガラスや看板が落ちてくるかも。電柱やブロック塀、自動販売機がたおれてくるかも。古いビルや木造家屋が倒壊するかも。
※屋内…会社では、ロッカーでドアが塞がれ出られなくなるかも。商業施設では、大きなガラスが割れたり天井のオブジェが落ちてくるかも。飲食店では、物の落下や食器類が飛んでくるかも。
『外出時の衣類に“安心“を』
大判ストール
→ 避難時に粉じんによる汚れを防いだり、マスク・包帯・日除け・ブランケット・避難所での間仕切り代わりとしても使用できます。
フラットシューズ
→ 災害時に階段を下りたり、長時間歩くことを想定した靴選びを。毎日は難しくても、会社にスニーカーを置いておくことでも安心できます。
リュックサックやショルダーバッグ
→ いざというときに両手があき、安全を確保。小さく畳んで携帯できるエコバックもおすすめです。
『もしもを想像してお役立ちアイテムを選んでおく』
災害時にも役立つアイテム例
l 携帯充電器
l 身分証明書
l 筆記用具、メモ帳
l 家族写真
l ばんそうこう
l 目薬
l ウエットティッシュ
l 汗拭きシート
l 生理用品
l 大判のハンカチ
l 髪留め(ピン、ゴム)
l 飴などのお菓子
l ゼリー飲料
l レジ袋
l 使い捨てカイロや冷感タオル
l 携帯用トイレ
l 防犯ブザーや笛
l ライト
『歩いて帰るシュミレーションをしてみる』
発災時、交通機関が止まった場合、むやみに移動しないことが基本ですが、状況が落ち着けば歩いて帰る選択肢があります。
l 災害時帰宅支援ステーションの場所を確認する
l 危険で道が通れない場合もあるので、複数ルートを想定する
『いつもの場所に寝転んで危険を探してみる』
部屋の中のインテリアは、地震の揺れで倒れたり、落下すると考えて、危ないところがないかチェックしてみましょう。
『物が散乱する室内を素足であるかないように』
寝ている場所の近くに厚底のスリッパや普段使用していない靴を準備しておくと安心です。
『メガネや杖、携帯電話、抱っこ紐などは枕元に』
行動を助ける必需品は、いつも枕元に備えておきましょう。ただ置くだけでは、揺れでどこかへ飛んで行ってしまうこともあるので、滑り止めシートの上に置いたり、固定した壁掛け収納に入れるなどの工夫をしましょう。
『寝室に置く小物は割れない素材を選ぶ』
時計や写真立てなど、ガラスや木製の割れやすいものではなく、紙や布、シリコン製のものを選びましょう。
『窓ガラスには飛散防止フィルムを』
ベッドや布団は、できるだけ窓から離します。できない場合は、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼りましょう。また、カーテンを閉めると割れたガラスが飛び散るのを抑える効果があります。
『寝ている場所に家具が倒れてこないように』
寝ている場所に倒れてこない、落ちてこない、動いたり倒れて逃げ道をふさがない、この3点に気を付けた家具の配置が理想です。その上で、家具の転倒・落下・移動防止対策も考えるようにしましょう。
『夜間の発火に備えて明かりを確保』
停電を感知して自動で点灯するタイプの足元灯が便利です。ない場合は、懐中電灯を、揺れでも見失わず暗闇でもすぐ手に取れるような場所に置いておきましょう。ヘッドライトなど、手に持たなくてもよい明かりもおすすめです。
『整理整頓で安全を確保する』
普段から必要なものだけを置くように心がけましょう。部屋や廊下に置くものを極力少なくし、地震が来ても安全な空間や避難ルートをつくっておきましょう。
『重たいものは下、軽いものは上が収納のポイント』
重くて硬いものや割れやすいものは、棚の下段に、軽いものや落ちて当たっても痛くないものは上段に置き換えるだけで、地震に強い収納方法になります。
『食器の重ね方を工夫する簡単な落下防止テクニック』
食器は高く積み重ねないようにしましょう。
下から、中・大・小、の順に積み重ねるのがポイントです。
揺れに強い安定した置き方になります。
『調理器具の出しっぱなしは危ない』
包丁や重い鍋などの調理器具は、揺れで落ちたり飛んできたりしたら、大けがのもとです。使い終わったらすぐしまうように心がけましょう。
『暮らし方で考える安全なお部屋のインテリアを』
部屋が片付いたら、お部屋のレイアウトをチェックしましょう。
出入口の確保はもちろん、用途や過ごし方で下記のポイントを抑えたレイアウトにしましょう。
・家具や家電は出入口をふさがないように固定。
・ベッドに家具が倒れてこないように配置。
・頭に物が落ちてこないように配置。
・窓には飛散防止フィルムを張る。
・テレビや棚が倒れないように固定。
・テーブルまわりに大きな家具を置かないように。
・落ちても安全な素材を選ぶ。(例:掛け時計)
・背の低い家具を選ぶ。(子供部屋)
・机の下は逃げ込めるように常に片付けておく。
『家具・家電の防災対策は大掃除のついででも』
家具、家電の固定などの防災対策はなかなか手をつけずらい内容です。
おすすめは、大掃除のタイミングです。棚の掃除のついでに、滑り止めシートを敷く、ほこり掃除のついでに家具・家電の転倒防止対策をする、など、大掃除の時に少し意識して、防災対策を始めましょう。
『穴を開けなくてもできる家具・家電の転倒・落下・移動防止対策』
家具・家電の転倒防止には、ネジ止めが最も効果的なのですが、壁に穴を開けられない場合には、家具・家電と天井の間にポール式器具を突っ張って固定する方法でも一定の効果があります。この対策にさらにストッパー式や粘着シート(マット式)を敷くと強度がアップします。
『もしものケガを予防して、後片付けの手間もはぶく』
棚の上の電子レンジや収納できない雑貨などは、落ちない工夫が必要です。
食器棚は、中の食器類が飛び出して割れたりしないように、扉が勝手に開かないためのキャビネットストッパーを取り付け、ガラス飛散防止フィルムを貼っておきましょう。
ケガの予防はもちろん、被災後の片付けの大変さも軽減してくれます。
『キャスター付き家具・家電は移動しないように下皿をセット』
キャスターがついた可動式の家具・家電は揺れで簡単に移動してしまうので要注意です。動かさないときは、ロックしたうえで下皿をセットしましょう。
『日常備蓄』
「日常備蓄」とは、普段使っている物を常に少し多めに備えることです。
〈なくなる前に買う → ストックする → 古い物から使う → なくなる前に買う〉
大きな災害の後は、しばらく流通がストップしてお店に商品が並ばないこともあるので、もしものときに困らないために自分に必要な物を考えて、備えることが大切です。
1、 食料・飲料 … 食べ慣れたもの、好きな物を少し多めに買っておき、賞味期限の近い物から食べていき、減った分を補充します。多めにストックしすぎたり、食べずに無駄にしないように注意しましょう。
2、 生活用品 … ラップ、ポリ袋(高密度ポリエチレンのもの)、ゴミ袋(黒色もあると便利)などは、避難生活で何通りにも使えます。
3、 衛生用品 … トイレットペーパーやティッシュペーパー、ウエットティッシュや石鹸、手指消毒スプレー、生理用品など。
『自分にあった物を多めに買っておく』
薬や、肌質に合う化粧品、サプリメントなどは、避難生活では入手しづらくなります。自分に合った「コレしかダメ」な物は、多めにストックしましょう。
『宅配で定期購入は、妊婦や高齢者の味方』
米や飲料水などの重い買い物は、一定期間ごとに自宅に届く、定期購入サービスを利用する手もあります。買い忘れも防げます。
『ベビー用品もいま使っている物を備えることが大切』
赤ちゃんのおむつ、肌着、ベビーフードなども、日頃から使っているものを備えておくと、いざというときにも役立ちます。
『行けるときに、トイレは済ませておく』
発災直後はトイレに行きづらくなることもあります。普段からこまめにトイレを済ませておくと良いでしょう。
『災害時のトイレの悪臭対策3つの備え』
発災後は、トイレが流せなくなるなど、臭いに悩まされることもあります。臭いを抑える備えをしておくとストレスを軽減できます。おがくずやペット用の砂なども消臭効果があります。
1、 封じ込める … 消臭袋、自宅で汚物を保管するときのために。
2、 消臭する … 消臭スプレー、自宅でも避難所でも活躍。
3、 さえぎる … 消臭効果の高いペパーミントやユーカリなどのアロマオイルを
1・2滴含ませたマスクをすると、臭いによるストレスが緩和。
『トイレが使えないときに必要な物』
・45リットルのゴミ袋 … 黒い袋なら汚物が見えない。
・便を吸収、凝固するための物 … 市販の処理剤のほか、新聞紙、紙おむつなどでも代用できる。
※便器が壊れているとき、厚手の段ボール箱、大きめのバケツなどで代用する。
『トイレが使えないときの簡易トイレの作り方』
1、 便座を上げて、45リットルのゴミ袋を中に敷く(便器内の水はそのまま)。養生テープがあれば、袋のふちを便器に貼って固定する。
2、 便座を下げて、便袋をセット。
3、 利用する前に新聞紙や紙おむつを便袋の中に入れ、便を吸収させる。(または利用後に市販の凝固剤などをふりかける。)
4、 便袋を取り出して、口をしっかりしばる。
5、 便袋を黒いゴミ袋や消臭袋に入れて、汚物ゴミの回収があるまで保管(便袋は各自治体の決まりにしたがって処理)。
『被災時は冷蔵庫の中身も活用する』
停電することもあるため、生鮮食品など、傷みやすいものから食べるようにしましょう。
『野菜不足での栄養バランス不足に気を付ける』
避難生活では、野菜が手に入りにくく、ビタミンやミネラル、食物繊維が不足しがちです。野菜ジュースやレトルトの野菜スープ、フルーツの缶詰、サプリメントが家にあれば、もしものときも栄養バランスを取るのに役に立ちます。
『好きな食べ物や飲み物は活力に』
気持ちも体も弱っているときは、好きなものを口にすると、元気が出たり、ストレス軽減になります。お菓子やコーヒーなどのお気に入りも備蓄しておきましょう。
『災害時給水ステーション』
断水時には、災害時給水ステーションで水を受け取れます。水を取りに行く際は、空のペットボトルを入れたリュックを持参するなど、運び方を工夫しましょう。
『食物アレルギーは、周囲に伝える用意も』
避難生活では、子供にアレルギーの原因食材を示したビブスやアレルギーサインプレートなどを付けて、周囲の人にわかるようにする準備もしておきましょう。
『毎日、睡眠をしっかりとる』
睡眠不足などで体力や思考能力が落ちていると、もしものときにとっさの判断や行動をとることが難しくなることもあります。
『不調をやわらげる方法を身につけておく』
不眠などの不調は、被災時の厳しい環境下で、悪化してしまいがちです。腹式呼吸や体操、マッサージ、アロマテラピーなど、からだや心を楽にする知恵が役に立ちます。
『処方薬は情報も備える』
服用中の薬は、医師と相談して可能なら予備分も入手しておきましょう。また、薬の名前と用法用量の情報を正確に把握しておくことも大切です。お薬手帳や処方シールなどを携帯電話で撮影し保存したり、薬の検索や服薬管理ができるアプリを活用してみましょう。
『感染症予防の基本は手洗いと手指消毒』
水道が使えない環境下などでは、インフルエンザなどの感染症が蔓延することもあります。石鹸と流水でこまめに手を洗うことができないときは、アルコールタイプの手指消毒剤とウェットティッシュも用意しましょう。
『寒さ・暑さ 対策』
≪寒さをしのぐコツ≫
避難生活で女性から寄せられるからだの不調の悩み。その原因のひとつが冷えです。
からだを温めて不調の予防を。
・ダウンジャケットは肌の近くで着る
→ ダウンジャケットは、体温により羽毛がふっくらと広がり、
空気の層を作ることで断熱効果を発揮します。
・一番外側は、風をさえぎる素材の衣類
→ 風から身を守り、暖かい空気を外へ逃がさない素材を、一番外側に着ます。
雨にも備えて防水機能のある素材の物を上下で備えておくとより良いです。
・濡れたままは危険
→ 雨や汗で濡れたら、肌と髪をしっかり拭いて、乾いた衣類にすぐに着替えを。
水分が蒸発するときに体温が奪われ、低体温症になる危険もあります。
≪暑さをしのぐコツ≫
下記に災害が起こり、空調設備が十分に使えない場合は、室内温度が上昇しやすいので、熱中症などへの注意が必要です。停電しているときでも、暑さを乗り切るための事前の準備が大切です。
・冷やすと効率的に熱が下がる6つの場所
→ 首の両わき、脇の下、足の付け根は、血管が肌の近くにあり、
ここを冷やすと、体温を効率的に下げることができます。
・暑さをしのぐアイテムを備えておく
→ 冷却スプレーや、熱を冷ますシート、扇子やうちわなど、電気が使えなくても、
暑さをしのげるグッズを備えましょう。
・ゆったりしたサイズの衣類で風を呼び込む
→ 暑いときは、上下ともゆったりシルエットの服がおすすめです。
また、肌を濡らしてから扇子やうちわであおぐと、涼しさを感じられます。
『家族と』
≪いざというときのために決めておきたい約束事≫
① 災害時の連絡手段は複数決めておく
家族がバラバラで被災したときのために、災害用伝言ダイヤルや、災害用伝言版、SNSなど、連絡手段は複数決めておきましょう。いざというときの連絡先や連絡する順番を事前に話し合っておくことも大切です。
また、出かけるときは、家族に行き先を知らせる習慣をつけておきましょう。
② 集合場所と時間は具体的に
家族と離れた場所で被災した場合、会えるのが数日後になる可能性もあります。
自宅以外での待ち合わせは「〇〇小学校の南門の前で」「午前9時と午後5時に10分間待つ」など、具体的に決めておけば、会える確率が高まります。
『友達と』
≪風邪をひいたときに助け合える関係が、被災時にも心強い≫
友達同士で集まって在宅避難するのも手です。あらかじめ助け合える関係を作っておくといいでしょう。
『ご近所と』
≪万が一の場合、頼りになるのはご近所≫
日頃から、顔見知りになっておくと安心です。顔見知りになる第一歩は、挨拶。機会があれば、地域のお祭りやイベント、趣味のサークルにも参加してみましょう。
『遠くの知人と』
≪地震の被害が大きいときは、遠くの知人を頼る選択肢も≫
実家以外にも、遠方の友達や知人など、助け合える人がいると安心です。いざというときに連絡が取れるよう、普段からコミュニケーションを取っておくとよいでしょう。
『そのときのために』
≪着替えの置き場所≫
日頃から着替えやバスローブなどは手に取れる場所に準備するとよいでしょう。素足での移動は危険なので、スリッパなども脱衣所に置いておきましょう。
≪浴室のリラックスグッズが凶器に変わる≫
アロマキャンドルやオイルの容器などは、落ちても割れない素材を選びましょう。鏡が落下して割れることもあるので、飛散防止フィルムを貼って対策を。
≪脱衣所や洗面台は出しっぱなしに注意≫
化粧品の瓶やドライヤーなどは、割れたときの破片が危険なだけでなく、落下して子供の頭に当たるなどケガの原因になります。物はできるだけ、引き出しや収納扉にしまう習慣をつけましょう。
『その後のために』
≪お風呂に入れないとき、清潔に保つための備え≫
災害時は、お風呂やシャワーが使えず、かゆみで眠れなくなることも。ドライシャンプーやクレンジングシートなどがあると便利です。また、赤ちゃん用のおしりふきシートは低刺激で大判や厚手の物が多く、大人でも体を拭くのに役立ちます。皮膚トラブルのある方は、タオルと水、塗り薬など、自分に適したものを準備しておきましょう。
『地域の危険を知る』
≪チェック1:地域≫
地域の災害リスクを確認するために役立つのが、ハザードマップです。(自治体によっては名称が異なります。)マップは、災害種類別に用意され、地域の危険区域や避難場所などの情報がまとめられています。災害時の避難ルートや避難方法など、地図を見てあらかじめ考え、実際に歩いてみましょう。
≪チェック2:住宅≫
引っ越しなどで住宅を選ぶときは、防災の視点からも情報を集めて参考にしましょう。
・壁にひびが入っていないか、ベランダやバルコニーが破損していないか、
床や柱の傾きを感じないかなどを確認しましょう。
・1981年6月1日以降に建築確認が行われているか、いままでに大きな災害に
見舞われたことがあるか、耐震工事をしているかなど、不動産屋などに確認しましょう。
・地域で起こった過去の災害など、災害リスクを調べておきましょう。
『ハザードマップの種類例』
≪洪水のハザードマップ≫
大雨や台風の際の浸水が予想される区域や浸水の程度などがわかります。
≪土砂災害のハザードマップ≫
大雨や地震などが引き金となり崖崩れなどが起こる土砂災害の危険区域がわかります。
≪火山のハザードマップ≫
火山噴火に伴う大きな隕石や火砕流、火山灰や火山ガスなどによる災害が及ぶおそれのある範囲がわかります。
≪津波のハザードマップ≫
津波による浸水などの被害が想定される区域や想定浸水深、津波到達時間などについてわかります。また、避難場所や避難経路なども載っています。
ハザードマップは、各自治体の窓口で手に入るほか、ホームページで閲覧したり、ダウンロードもできます。