かまぼこの原料:サメ類(shark)

サメの種類は多く、その漁獲量はおよそ年間60万トン。国内では約1万5千トンを漁獲していて、その過半数は気仙沼港で水揚げされています。

かまぼこのはんぺんやスジ、ちくわ、梅焼などに使われるサメは、ヨシキリザメ、ホシザメ、アオザメ、シュモクザメ、アブラツノザメなどが使われています。

サメのスジには、主にコラーゲン、軟骨にはコンドロイチンが含まれており、おでん種の「スジ」は人の関節や美容の助けになる健康食品のひとつとして再評価されてきました。


かまぼこの原料:サンマ(pacific saury,saury)

サンマの旬は9月。鮮度の良いサンマは表面が光輝き、「秋刀魚」の語源である、刀のように筋肉が緊張して反り返っています。

最近は、冷凍技術と低温輸送の発達で美味しいサンマが一年中食べることができるようになりました。

血合い筋が多いので赤身魚として扱われます。赤身魚全般に言えることですが、旨味成分を残した晒し方が必要で、例えば、つみれやサンガ焼きでは水晒しをほとんど行いません。ちくわや揚げ物では1回程度の晒しです。また、この魚はイワシやサバなどに比べて坐りやすさも戻りやすさも中程度なので、すり身や製品作りが比較的容易です。


かまぼこの原料:サケ(chum salmon,chum,dog salmon)

英国ではサケもマスも「サーモン」と呼び、種類別に○○サーモンと呼んでいます。

日本では紅鮭(red salmon)、銀鮭(silver salmon)、鱒之介(king salmon)などが漁獲されていますが、ここでお話しするのは「シロザケ」です。

1990年ごろにシロザケの冷凍すり身が新たに開発されました。製造のポイントはサケ特有の旨味をすり身に残すために、弾力を要求せず軽い晒しが基本です。

色調がやや黄みがかかりますが、サケの旨味を十分に取り入れたちくわなどの焼きものや揚げものに最適です。


かまぼこの原料:ヒラメ(bastard halibut,japanese flounder)

欧米では、カレイやヒラメなどの扁平な魚をフラットフィッシュと呼んでいます。

ヒラメは眼が体の左側にあり、口が大きく、冬のヒラメは特に美味しいと高い評価を受けています。身ごしらえは、頭、内臓を取ると同時に皮を剥いでから採肉機にかけるのが特徴です。採肉歩留は約60%と高いです。肉質は軽い晒しによって純白でくせのない旨味を呈し、低温で擂りあげて直ちに成型すれば、極めて強い弾力が得られます。

笹かまぼこの原料として重要魚種とされてきましたが、今や高級魚。かまぼこの原料としてはあまり見かけなくなりました。


かまぼこの原料:キチジ(bighand thornyhead,kitiji rockfish)

キチジは漢字で「喜知次」と書きます。

北海道や東北では「キンキ」と呼ばれていて、ハレの日の魚、高級魚として扱われています。

旬は冬、魚体が朱赤で背びれに大きな黒い斑点があるのが特徴です。

一般には干物や煮つけを評価しますが、骨汁スープもとても美味しいです。

身肉は純白で、上品な旨味とEPAやDHAを多く含んだ脂があります。

軽い晒しを行うとソフトで歯切れの良い身肉に変わるため、笹かまぼこの原料におすすめの魚として知られています。


かまぼこの原料:ホッケ(arabesque greenling)

肉質はスケトウダラと比べてやや色調が下がりますが、旨味成分が多く、脂肪も多いので、干物や煮魚でおいしく食べることができます。かまぼこ原料としては旨味を利用することが大切です。

採肉歩留まりを上げると色調が悪くなるようなので、調整の必要があります。また、鮮度低下が早いので、すばやく低温で処理して利用することが重要です。


かまぼこの原料:スケトウダラ(walleye pollock,Alaska pollock)

北海道で冷凍すり身が開発されて以来、かまぼこ原料の最重要魚種になりました。肉質は白身、味は淡白なので、調味技術が問われます。鮮度が良いと足が強いため加工食品素材として評価されて、かまぼこを含めた多くの食品原料に用いられ、干し物、鍋物、白子、タラコ、辛子明太子などがあります。

体は細長い痩せ型、目と口が大きく、下あごが上あごより突き出ていることで、マダラやコマイと区別できます。


かまぼこ製品:魚肉ソーセージ、魚肉ハム

魚肉のすり身をケーシングに入れ加熱したソーセージに似た加工食品で、フィッシュソーセージとも言われています。

原料はスケトウダラの冷凍すり身が主流で、昔は添加物により問題視されていましたが、近年はメーカー側の開発・販売努力 (カルシウム・DHA・ビタミン・コラーゲンの添加、アニメや子供向け特撮ヒーローのキャラクター採用) や、健康・ヘルシー志向 (低カロリー・低脂肪・高タンパク) も手伝って、徐々に魚肉ソーセージが見直されるようになっています。

また、魚肉ソーセージの類似品として魚肉ハムと呼ばれるものも存在します。

魚肉ソーセージが主に魚肉のすり身を用いるのに対し、魚肉ハムは魚肉の肉片を塩漬けにしたものを原料としていて、戦前はプレスハム類似の製品を豚肉の代わりに作られていて、大衆食として親しまれていました。


かまぼこ製品:蒸し焼きかまぼこ、焼き抜きかまぼこ

蒸し焼きかまぼこ(通称、焼き板)は、蒸してから表面を焼いたもので、表面全体に焼き色がついて旨味と弾力がよくマッチしています。焼き板は関西地方に多く流通されています。

焼き抜きかまぼこの「焼き抜き」とは、成形した調味すり身をガス火などの乾熱で終始焼き通したものです。本来、「ちくわ、野焼、なんば焼、笹かまぼこ」などもこの部類に入ります。

板付き白焼きかまぼこの特徴は、表面のちりめんじわ、光沢のある白さ、切り口の艶、粘りのある弾力、などです。主な産地は山口県、愛媛県です。

板付き焼き通しかまぼこは、光沢のある白抜きの亀甲紋様、切り口の艶、粘りのある弾力と旨味がマッチしていることが特徴で、関西で生産しています。

なんば焼は、和歌山県田辺の名物です。四角で中央が盛り上がった重量感がある大きさです。その中央に日の丸形焼き色、そして強い弾力と旨味があります。

笹かまぼこは、一説には明治初期に仙台市内の或るかまぼこ屋が当時仙台湾でたくさん獲れたヒラメからの調味すり身を、手のひらで笹の葉型にたたき竹串を刺し焼き上げたものを笹の葉かまぼこ、べろかまぼこなどの呼称で売り出したのがはじまりではないか?といわれています。仙台、塩竃、石巻、閖上などを中心とした宮城県が主な産地です。


かまぼこ製品:昆布巻、赤巻、す巻

昆布巻…富山県が主な産地で、上質な昆布を洗ってしなやかにしてから表面水分をとります。この昆布にグチ、トビウオなどの生すり身や各種冷凍すり身から調製した調味すり身を薄くのばし、渦巻き形に巻いて蒸したものです。魚の旨味を残すために水晒しの度合いをひかえめにしています。

赤巻…富山県が主な産地で、帯状の赤色かまぼこで先の昆布巻と同じように調味すり身を巻き蒸しあげた製品です。

す巻…山陰の出雲地方、四国の香川県や愛媛の今治、九州などが主な産地です。エソ、トラハゼなどの地魚の生すり身や各種冷凍すり身から調製した調味すり身のひとかたまりに定寸の麦旱(ストロー)を均一に付け蒸し上げた製品です。ストローは板付きと同じく昔をしのぶ包装の一形態として人気があります。


かまぼこ製品:包装かまぼこ

通称の包装かまぼこは、「特殊包装かまぼこ」の略称で、すり身をプラスチックケーシングに詰めて両端を密封し加熱殺菌する「ケーシング詰めかまぼこ」(ちーかま、等)、板付けしたすり身をプラスチックフィルムで包装し金型枠に入れて加熱殺菌する「リテーナ成型かまぼこ」があります。

「ケーシング詰めかまぼこ」は高温高圧殺菌(120℃4分間)により、極めて保存性が高く、「リテーナ成型かまぼこ」は生包装後に蒸気で加熱殺菌を行うので板付けかまぼこの姿をそのまま残し、かつ保存性がよいのが特徴です。


かまぼこ製品:蒸しかまぼこ

蒸気で加熱殺菌する「蒸しかまぼこ」は、東日本の腰高な板付き蒸しかまぼこ(普通品260g)と、西日本の比較的小振りな板付き蒸しかまぼこ(普通品130g)があります。

東日本(小田原型)は、外観に白さと光沢があること、食感は甘みを基調とした淡白な旨味と底魚の新鮮臭、しなやかな弾力ときめ細かさが特徴です。

西日本は、旨味と弾力のバランスがよくマッチしたものです。地域によって味が様々ですので、食べ比べていただくと楽しいと思います。


かまぼこの製品:風味かまぼこ

風味かまぼこは、カニ、ホタテ(フライ用)、エビ、アワビなどがあります。 この中でも、最も生産量が多く、食卓でも馴染みのあるものがカニ風味かまぼこです。

カニ風味かまぼこの原料は主にスケトウダラ冷凍すり身が使用されます。 カニの旨みは、グリシン、カニエキスが加えられます。刻み上の「カニちらしかまぼこ」「カニ足(スティック状)」の形がありますね。サラダやちらし寿司、酢の物の彩りとして活躍する食材です。


かまぼこ製品:卵黄もの

卵黄もので有名なものは、「伊達巻」です。鉄の角鍋で裏表両面を焼き上げ、竹のすだれで「の」の字に巻いて成形・冷却し、すだれを外したものになります。

名前の由来は、一般に女性が着物の着崩れを防ぐために、帯の下に締める幅の狭い帯のことだそうです。この姿・形が、かまぼこの伊達巻を指すようになったという説があります。

ほかにも、卵黄もので「厚焼」(こちらは焼き上げてから重石を乗せ、すだれは使わないもの)や、 「梅焼」(全卵を用いて浮かしたすり身を、加熱した鉄板上の梅花金型へ注入、両面を反転して焼き上げたもの)、 「バクダン」(鶏卵のゆでたまごの表面を、揚げ物用すり身で握り込んで揚げたもの)があります。


かまぼこ製品:茹でかまぼこ

調味すり身を成形し、熱湯で茹でたかまぼこのことです。

茹でる加熱方法は「焼く」に次に来るものと考えられ、最後に「蒸す」が開発されたといわれています。 はんぺんや、すじ、つみれ、黒はんぺんなど、それぞれの原料の魚臭や色調を抑える加熱方法として考え出されたのではないでしょうか。

魚とは思えないほどの舌触りと風味。かまぼこの中でも、茹でかまぼこはお子様にも大変人気です。


かまぼこ製品:揚げかまぼこ

揚げかまぼこは、かまぼこ製品のなかで最も生産量が高く、多くが惣菜として家庭の食卓に上がります。

種物入りが好まれる傾向で、ごぼう、にんじん、たまねぎなどの野菜類のほかに、ウインナー、チーズなど、バラエティ豊かです。

地域で人気の高い丸掛けの調味すり身を用いた「皮てんぷら」、「じゃこ天」などの揚げかまぼこは、その旨みと高い栄養価で高評価とされています。

これからの季節、炙っておつまみにも最適です。


かまぼこ製品:焼きちくわ

すり身を串(ステンレスパイプまたは竹筒)に巻きつけてあぶり焼きしたもので、円筒状になっているものが『焼きちくわ』とされます。

ちくわはかまぼこの原形といわれていて、現在も竹串を使用した手作りの握りちくわがあります。

青森県、宮城県では、「ボタンちくわ」という、表面薄皮にボタン模様の焼き色がある特徴のちくわがあります。主に、おでんの具材につかわれますが、そのまま輪切りで食べても美味しいです。

愛知県や三重県の「豊橋ちくわ」は、中央に焼き色が入り、両端には焼き色がつきません。

「野焼」は、一般的な分類ではちくわとされていますが、統計ではかまぼこに入れられている、島根県東部の出雲地方で昔から作り伝えられてきた、トビウオが主原料の大型のちくわです。

この他に、山陰地方の「鯛ちくわ」、徳島県の「竹ちくわ」、九州の「黄金ちくわ」、福井県や鳥取県の「豆腐ちくわ」があり、地域の名産として地元では根強い人気があるそうです。


かまぼこの原料:サバ(Pacific mackerei,chub mackerel)

わが国で一般的に「サバ」と呼ばれるものには、マサバとゴマサバがあります。

マサバは「ホンサバ」、「ヒラサバ」などとも呼ばれ、春から夏にかけて北上し、秋から冬は南下します。産卵期は3月から8月。最大50㎝を超すものもいます。秋ナスと同じように「秋鯖は嫁に喰わすな」と言われたりしますが、脂が最ものっていて美味しい時期は晩秋から翌年2月頃まで。10~11月のものを「秋サバ」、12~翌2月頃までの物を「寒サバ」と呼びます。産卵期は春から初夏です。

ゴマサバは名前の通り体の側面と腹側に多数の小黒斑があり、縦断面の切り身が丸いことから、「マルサバ」とも呼ばれています。ゴマサバはもともと脂質が少なく、一年を通して味もほとんど変わりません。ただ、マサバの味が落ちる季節に、それに代って大量に漁獲されるため、夏が旬とされています。

いずれも日本近海の代表的な大衆魚で漁獲量の多い魚ですが、マサバは近年漁獲量が減りつつあります。


かまぼこの原料:アジ(Japanese jack mackerel)

 アジには、マアジ、ムロアジ、シマアジなどがあり、マアジがかまぼこ製品、特に揚げかまぼこの原料として用いられているそうです。

ジを選ぶポイントは、「表面に光沢・張りがあるもの」。

旬で新鮮なアジは、「なめろう」というレシピが美味しく、よく食べます。お刺身やアジフライも定番ですが、この魚もかまぼこの原料として優秀な魚なのです。


かまぼこの原料:イワシ(Sardine,Spotlined sardine)

テレビを見ていたところ、その年によって変わるそうですが、日本で漁獲量の多い魚の1位が「鰯(いわし)」でした。 クイズ番組だったので、「鯵(あじ)」かなぁ、とわたしは漠然と答えていたので、少しびっくりしました。

イワシの練り製品といえば、関東のおでん種のひとつである「つみれ」。つみれ作りのポイントは、大量の熱湯水で茹でることだそうです。 熱が短時間に中心部まで伝導して、弾力を補強します。また、タンパク分解酵素を急速に失活させるのと同時に脂肪やアクを抜くことができます。

近年は不漁で、かまぼこの原料には採算がとれなくなってきましたが、好不漁に振り幅があるそうなので、今後に期待したいです。 国産の、安心できる食品がたくさん普及できますように。


かまぼこ板の話

かまぼこは、蒸す時、冷す時に、水分をはいたり吸ったりします。その際にかまぼこ板は、かまぼこの乾燥に合わせて水分を出し入れすることにより長期間一定の水分量を保ちます。これは木材の特性で金属、樹脂等では実現不可能です。これにより腐敗を抑える効果があります。

かまぼこが板付きになったのは、安土桃山時代といわれ、料理人が献上品としてのしつらえを持たせるための工夫もあったのかもしれません。その他にも、すり身に触らずに成形でき、加熱時などの持ち運びにも便利であることなど様々な役割を果たしているようです。

かまぼこ板には、白くて、節のない、しもにおいのない、モミやシラベといった木が使われますが、中には移り香を楽しむ目的でスギが使われることもあるようです。